ひとつの建物ではなく、町を歩く

エル・ジェムが「ひとつの巨大な円形闘技場」の遺跡だとすれば、ドゥッガは「町そのもの」の遺跡です。丘の斜面に、通りも広場も神殿も、家々の跡まで残っています。北アフリカで最も保存状態のよいローマ都市とされ、1997年にユネスコ世界遺産に登録されました。

見学は、丘をのぼりながら町の設備を一つずつたどっていく形になります。神殿、劇場、市場、共同浴場、そして公衆トイレ。二千年前の暮らしの器が、起伏に沿ってそのまま並んでいます。

カピトル神殿 — 町の象徴

丘の中腹にそびえるのが、西暦166〜167年ごろのカピトル神殿です。ローマの三神ユピテル・ユノー・ミネルウァに捧げられ、高いコリント式の柱と正面の壁がほぼ完全に残っています。ドゥッガを一枚で表すなら、まずこの正面です。

ローマ以前 — ヌミディアの霊廟

丘には、ローマが来る前のヌミディア時代の霊廟も立っています。紀元前2世紀ごろ、高さ約21メートル。リビュア文字とフェニキア文字を併記した碑文があり、古代リビュア文字の解読の手がかりになった一基です。ローマとローマ以前が同じ丘に同居しているのが、ドゥッガの奥行きです。

神殿から公衆トイレまで、町の設備がひととおり残っている。だからドゥッガでは、二千年前の一日を歩いて追体験できます。

実用情報(2026年7月時点)