こんにちは、チュニジア在住の旅ガイド、メッド・トゥンシです。砂丘の向こうに二つの太陽が昇る惑星タトゥイーン——実はあれ、SFの空想ではなく、私が生まれ育ったチュニジアの砂漠なんです。ルーク・スカイウォーカーが暮らした家も、アナキンが育った街も、今も本物の砂の中に立っています。今日は、映画ファンならずとも息をのむ「スターウォーズ ロケ地 チュニジア」の旅を、地元の人間としてまるごとご案内します。
手っ取り早く言うと: スターウォーズ ロケ地 チュニジアの目玉は、マトマタの洞窟ホテル「シディ・ドリス」(ラーズ農場の内部)、トズール&ネフタ近くのモス・エスパの街並みとショット・エル・ジェリド塩湖、そしてジェルバ島アジムのオビ=ワンの家です。トズールやドゥーズから4WDのガイドツアーで、サハラ砂漠観光とセットで巡るのが定番です。
惑星タトゥイーンの名前はチュニジアの町から来た
まず驚きの事実から。ルーク・スカイウォーカーの故郷「タトゥイーン(Tatooine)」という名前は、チュニジア南部に実在する町「タタウィン(Tataouine)」に由来しています。ジョージ・ルーカス監督は1976年、この砂漠地帯でロケハンを行い、町の名前をそのまま架空の惑星に借りたのです。
つまりチュニジアは「タトゥイーンのモデル」ではなく、文字通り「タトゥイーンそのもの」。40年以上前の第一作から最新シリーズまで、この国の風景は銀河系の辺境を演じ続けてきました。
スターウォーズ ロケ地 チュニジアの全体像
ロケ地は大きく分けて二つのエリアに広がっています。一つは西部、トズール&ネフタを拠点とするトズール周辺のショット・エル・ジェリド塩湖エリア。もう一つは南東部、マトマタとタタウィンのクサール(要塞倉庫)群です。さらに東の地中海に浮かぶジェルバ島アジムにも重要なロケ地があります。
全部を一度に回るのは距離的に大変なので、まずは「どの映画のどのシーンを見たいか」で行き先を絞るのがおすすめです。以下、代表的なスポットを順にご紹介します。
マトマタと洞窟ホテル「シディ・ドリス」——ラーズ農場の内部
ファン必訪の聖地がここ、マトマタです。ベルベル人が地面を掘って暮らす伝統的な「トログロダイト(横穴式住居)」の村で、その中の一軒がホテル「シディ・ドリス(Hotel Sidi Driss)」。ここが、ルークが叔父オーウェンと叔母ベルーと暮らしたラーズ農場の「内部」として撮影されました。
すり鉢状に掘られた中庭、丸いアーチの通路——エピソード4はもちろん、エピソード2でも同じ場所が使われました。しかも驚くべきことに、ここは今も現役のホテル。当時のセットの一部がそのまま残されていて、なんとその中で一泊できるんです。
- 宿泊は簡素ですが「あの部屋で眠った」という体験は唯一無二
- 宿泊しなくても、少額の見学料(あくまで目安)で内部を見せてもらえます
- マトマタ観光の拠点情報はマトマタの旅ガイドをどうぞ
モス・エスパとショット・エル・ジェリド——トズール&ネフタのスターウォーズ ロケ地
アナキン・スカイウォーカー少年が暮らした街「モス・エスパ」のセットは、ネフタ近郊の砂漠に今も丸ごと残っています。エピソード1のために建てられた土色のドーム型の建物群が、風化しながらも砂の上に立ち続ける光景は圧巻。ポッドレースの世界にそのまま迷い込んだような気分になります。
近くの巨大な塩湖ショット・エル・ジェリド(Chott el Djerid)には、ラーズ農場の「外観」ドームが設置された場所があります。真っ白な塩の大地に二つの太陽が沈む——あのアイコニックな夕陽のシーンは、まさにこの塩湖で生まれました。トズールを拠点にすれば日帰りで両方回れます。
オング・ジュメル——ポッドレースの砂丘
ネフタからさらに砂漠へ進むと、オング・ジュメル(Ong Jmel、「らくだの首」の意味)と呼ばれる美しい砂丘地帯があります。ここもエピソード1の撮影に使われた場所で、モス・エスパのセットからも近い。地平線まで続く黄金色の砂丘は、映画を知らなくても一生の思い出になる絶景です。
4WDでしかアクセスできないため、必ずガイド付きツアーで訪れます。夕暮れ時の光と影のコントラストが最高で、写真好きにはたまりません。
ジェルバ島アジム——オビ=ワンの家とモス・アイズリーの酒場
地中海の島ジェルバの西端、静かな漁村アジム(Ajim)には、二つの名シーンの舞台があります。一つは砂漠の隠者オビ=ワン・ケノービが暮らした家。もう一つは、あの有名な酒場(カンティーナ)「モス・アイズリー」の外観です。「ここはどうも胡散臭い連中の巣窟だ」というルークのセリフの、まさにその入り口ですね。
建物自体は素朴で、知らなければ通り過ぎてしまうほど。でもファンにとっては、白いターバンを巻いたオビ=ワンが歩いてきそうな空気が漂う特別な場所です。ジェルバ島はビーチリゾートとしても人気なので、海と映画ロケ地を両立できるのが魅力です。
タタウィンのクサール群——エピソード1の要塞
惑星の名前の由来となったタタウィン周辺には、ベルベル人が穀物を保管した「クサール(ksar、複数形ksour)」という蜂の巣状の要塞倉庫が点在します。中でもクサール・ウレッド・デバブ(Ksar Ouled Debbab)やクサール・ハダダ(Ksar Hadada)は、エピソード1で使われました。
幾重にも積み重なった土の小部屋(グルファ)が織りなす異世界的な造形は、CGでは出せない本物の迫力。タタウィン周辺はロケ地としてだけでなく、チュニジアの伝統建築を体感できる歴史スポットでもあります。
トズール近郊のシディ・ブーヘル——「スターウォーズ渓谷」
トズールの近くにあるシディ・ブーヘル(Sidi Bouhlel)は、ファンの間で「スターウォーズ・キャニオン(渓谷)」と呼ばれる岩場の峡谷。エピソード4で、ルークがサンドピープル(タスケン・レイダー)に襲われる岩陰や、C-3POとR2-D2が別れて歩くシーンなど、複数の名場面がここで撮られました。
荒々しい岩肌の間を歩くと、「あのカット、ここで撮ったのか!」と発見が続きます。4WDツアーの立ち寄りスポットとして人気です。
どうやって巡る?——4WDガイドツアーが基本
ロケ地の多くは舗装路のない砂漠の奥にあり、道標もありません。個人でレンタカーで行くのは危険なので、4WDのガイドツアーで回るのが鉄則です。拠点は主に二つ。
- トズール発:ショット・エル・ジェリド、モス・エスパ、オング・ジュメル、シディ・ブーヘルを効率よく
- ドゥーズ発:「サハラの玄関口」と呼ばれる町で、砂漠キャンプと組み合わせやすい
多くのツアーはサハラ砂漠観光とセットになっていて、ロケ地巡りとらくだトレック、砂漠での一泊を一度に楽しめます。半日〜数日まで選べますが、複数エリアを見るなら2〜3日は欲しいところ。料金はツアー内容や人数で大きく変わるので、ここでは金額を明記しません(あくまで現地で確認を。表示はすべて目安とお考えください)。
ベストシーズンはいつ?
チュニジア南部の砂漠は、夏(6〜8月)は日中40度を超えることも珍しくなく、ロケ地巡りにはかなり過酷です。おすすめは10月〜4月の秋から春。特に春(3〜5月)と秋(10〜11月)は日中も過ごしやすく、光もやわらかで写真映えします。
冬(12〜2月)は日中は快適ですが、砂漠の夜は氷点下近くまで冷え込むので、砂漠キャンプをするなら防寒着が必須です。
現地からの実用アドバイス
- 服装:日中は日差し対策(帽子・サングラス・日焼け止め)、朝晩は羽織るもの。歩きやすいスニーカーを
- 水:砂漠では水を多めに。ツアーでも自分用のペットボトルを持参
- 現金:砂漠エリアはカードが使えない場所が多いので、チュニジア・ディナールの現金を用意
- 時間:朝夕の光が一番美しいので、早朝出発のツアーを選ぶと写真の質が段違い
- 敬意:マトマタなどは人々が実際に暮らす村です。撮影の前は一声かけて
初めてのチュニジア旅行で不安な点は、チュニジア初めての旅Q&Aやチュニジア旅行完全ガイドにまとめてあります。
スターウォーズを知らなくても楽しめる?
結論から言うと、大いに楽しめます。ここで見られるのは、映画のセットである以前に、チュニジアという国が持つ本物の絶景です。真っ白な塩湖、黄金の砂丘、地面に掘られたベルベル人の村、蜂の巣状の要塞——どれも地球の風景とは思えないほど超現実的で、SFに興味がない人でも「別の惑星に来た」と感じるはずです。
映画ファンには聖地巡礼の感動を、そうでない人には唯一無二の絶景を。どちらの旅人も満足させてくれるのが、チュニジアの砂漠なんです。ぜひ一度、二つの太陽が昇る大地を自分の足で歩いてみてください。現地でお待ちしています!
よくある質問
スターウォーズのロケ地は今も残っていますか?
はい、多くが現存しています。特にネフタ近郊のモス・エスパのセットは砂漠の中に丸ごと残り、マトマタのシディ・ドリスは今も営業中のホテルです。ただし砂漠のセットは風化が進んでいる場所もあります。
ロケ地巡りには何日必要ですか?
西部(トズール周辺)だけなら1〜2日、南東部のマトマタやタタウィン、さらにジェルバ島まで含めるなら4〜5日は見ておくと安心です。サハラ砂漠観光と組み合わせるなら余裕を持った日程がおすすめです。
個人(レンタカー)で行けますか?
ショット・エル・ジェリドやマトマタなど一部は舗装路でアクセスできますが、モス・エスパやオング・ジュメルは砂漠の奥で道標もなく、4WDと現地ガイドが必須です。安全のためツアー利用を強くおすすめします。
シディ・ドリス(ラーズ農場)に泊まれますか?
泊まれます。設備は簡素ですが、映画のセットが残る空間で一夜を過ごせる貴重な体験です。宿泊しなくても見学料(目安)で内部を見せてもらえます。
子ども連れでも大丈夫ですか?
基本的には大丈夫です。ただし砂漠は日差しと暑さが厳しいので、真夏は避け、水分補給と日除けをしっかり。4WDの長時間移動もあるので、無理のない日程を組みましょう。
どの都市から出発するのが便利ですか?
ロケ地巡りは砂漠のオアシス都市トズール、または「サハラの玄関口」ドゥーズが拠点として便利です。首都チュニスからは国内線でトズールへ飛ぶか、陸路でアクセスします。





